バツイチナースですが、私を嫌っていた救急医がなぜか溺愛してきます
おまけに隊員たちはスクラブの上にドクターコートを着たままだった拓翔を見て、駆けつけた医師だと思ったようだ。
「青葉大学病院の森谷です」
名札を見せたら、すんなりと屋敷に入ることができた。
はやる気持ちをなんとか抑え込みながら、拓翔は走って離れを目指した。
拓翔が離れの玄関に着くと、ちょうど中から男性が飛び出してきた。
間違いなく、先日会った太田洸太郎だ。
「香耶はどこだ」
すぐに立ち去ろうとする洸太郎の腕を掴んだが、ものすごい力で振り払われた。
「離せ」
「もう一度聞く、香耶はどこだ」
「奥だ」
それだけ言うと、走り去ってしまった。
とにかく香耶の無事を確かめようと、拓翔は奥に進んだ。
「誰か、誰か助けて」
香耶の声だと思ったら、ドッと冷や汗が流れる。
いったいなにが起こったのか。
空いていたドアから部屋に入ると老女が倒れていて、そばに香耶が覆いかぶさるように座り込んでいた。
しかも服は乱れ、頬を腫らしている。
「香耶!」
「拓翔さん、助けて!」