最強術者であることを隠して自由に生きようと思っていましたが現最強術者の花嫁になり溺愛されるようになりました

今思えば、あの人は最初から母など愛していなかったし
駆け落ちをしていたし、私が生まれてからもあの人は帰ってくることなどなかった。
凛花の言う通りだ。最低な人だ。
初めて父を嫌悪感を抱き、批判した。
ずっとあの人に…執着していたなんて。
あんな人に執着して
愛されないことは分かっていたのに
愛されることを願い続けた。
私って馬鹿みたい。
それまであった舞花を苦しめた感情が
全て別のもので吸収されたような感じがした。
そして新たに芽生えた感情。
ずっと閉ざしたままでいた感情が溢れ出てくる。

今からでも遅くないのかな。
私は私らしく生きていっていいのかな。
自由に生きていいのかな。
やりたいことをやっていっていいのかな。
様々なことが溢れ出てきて…
ああ…私はまだ死んでない。生きてる。
ようやく息が吸えたような気がする。
ようやく生きる兆しが見えてきた気がする。

ねぇ、凛花いいのかな。

｢私は…私らしく生きていい？｣
｢はい。｣
これからも、大人になってからも
死ぬまでもずっと。
｢これから、やりたいことをやってもいい？
ずっと支えてくれる？｣
｢はい。｣
躊躇わずに、優しい声でそう答えてくれた。
当たり前だと言うように自然にそう答えてくれた。

｢…っ！｣
鼻の奥がツンと痛くなって、目元が熱くなる。
そしてこぼれ落ちる涙。
どうして泣いているのだろう。悲しくもないのに…。
こういう時はそうだ。何も考えなくてもいいんだ。
言葉もいらないんだ。ただ望むがままに舞花は
凛花の腕の中に飛び込み手を凛花の背中に巻き付ける。
そして、ただずっと泣き続けた。
泣き続ける舞花を、凛花は離そうとせずに優しく抱きしめた。泣き止むまでずっと。

見てくれない人に執着することなんてしなくていいんだ。見てくれる人は他にいるのだから。
私は私らしく生きていいんだ。

そう思うと舞花は何も苦しくも辛くもなかった。