最強術者であることを隠して自由に生きようと思っていましたが現最強術者の花嫁になり溺愛されるようになりました
それから色々なことを話した。
舞花のこれからのこと。未来のことを。

「今すぐに舞花を引き取りたいと言いたいが…。
舞花も分かっているな?術者界には掟というものがあることを。」
「…はい。」
舞花は分かっていた。
本当なら、今すぐにでもあの家から出ていきたい。神崎の所にいたいと願うが…。
術者界の掟によってできなかった。

術者界の掟というのは
一つ目は十五になった時に行われる武神を生み出す儀式をするまで、自身の術者の家にいないといけないという掟。
理由としては、儀式までに力を入れておけばおくほど強い術者を生み出せるから。だから力を入れさせるために
自身の術者の家に留まらせておくということ。

二つ目は、婚約以外で分家の人間が本家の家には出入りしてはいけないことだった。
今、舞花は本家の家にいるものの
一時の《《保護》》という形で許されている。

前述の掟を守るのは絶対であるため
例え、神崎の当主であろうと
掟を破るは許されない。

また、あの家に戻らなければいけない
そう考えた舞花の顔は暗くなっていくが
藤一郎は「そんな顔をするな」というように
舞花の頭を優しく撫でつつ口を開いた。
「安心しなさい舞花。また戻って同じような生活を送るわけじゃない。」
「え…?」
「舞花が、成人するまで舞花の支援をする。
欲しいもの、受験やその他諸々私が全て叶えてやる。」
「本当ですか…!?」
「ああ。」
躊躇うことの無い返事。
自分にはなかったものをお祖父様がしてくれる。
それも、成人までというのに舞花は驚きつつも
嬉しい、優しいという思いが込み上げていた。
「そして、成人する歳を迎えたら清原から除名にして舞花が自由に行きたい、暮らしていきたい所を選ばせてやろう。もし、その時なりたい職があったらそのために力を貸す。」
叶えたいことを全てお祖父様ができる限り叶えてくれる。こんなにも尽くしてくれて…。
嬉しくて笑おうとするが…
舞花の目は滲んでいた。
「舞花…!?」
今にでも泣きそうな舞花を見て慌ててハンカチを取り出して舞花に渡す。
拭いても拭いても拭いきれない涙が舞花の目から溢れ出てくる。そこでやっと自分は泣いているのだと気づく。
「どうかしたか?何か私が言ったか?」
「いいえ…違うんですっ…そこまで私に尽くしてくれるのが嬉しくてっ…」
尽くしてくれるなんてずっとなかったと思っていた。
尽くしてほしいと思っていた相手は違ったが
そんなこともういい。
愛してくれない人なんかのために執着するのは
辞めたのだから。
今、自分を大切にしてくれる人達を大切にしたいと決めたから。

すぐに涙を拭いてから舞花は祖父のほうに顔を向けて
頭を深く下げた。
「ありがとうございます…!お祖父様。」
「いいんだ。舞花。
お前は、楓の宝物でもありながら私の大事な大事な孫なのだから。」
そう言って、椅子から立ち上がって
舞花の優しく抱きしめた。

抱きしめられた舞花は涙を流すことなく自然と笑顔になっていた。

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