メガネを外したその先に
先生のおかげで、大分身体が楽になった気がする。


「せんせ、ありがと」


玄関でお礼を告げると、先生の手が冷えピタ越しに私の額に触れてから頬に添えられた。


洗い物をしたばかりで、冷えている先生の指先。

その冷たさが、熱い私の顔にしっかりと形跡を残す。


「早く治せよ」


ありきたりな言葉でも、先生からもらえるだけで私にとっては何倍もの力になるから不思議だ。


「せんせ」

「ん?」
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