メガネを外したその先に
「返せ」


先生の手が伸びてきて、咄嗟に席を立つ。


「やだ」


教室内を走るように逃げてみようとしたものの、先生がそれを走って追いかけてくるはずもなく。

教室の前方で足を止めた私の元へゆっくり近づいてくる先生を、手にしていたメガネ越しに捉えてみる。


「…?」


でも、その瞬間、ふとした違和感が芽生えた。

メガネのレンズ越しに先生を捉え、レンズをずらして直に先生を捉える動作を数回繰り返す。
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