メガネを外したその先に
「普段は、メガネしてないの?」

「してない」


先生が、先生としてのスイッチを入れるための道具。

それは、決してプライベートには踏み込ませないという強い意志のようにも感じてしまう。


「これ知ってるの、私だけ?」

「そうだな」


先生の大きな秘密を知ったことに対して芽生える優越感と、私が見ていた先生はあくまで“先生”としての姿でしかなかったことへの虚無感が押し寄せる。


もっと知りたいって、思ってしまう。

“先生”ではない時の龍弥先生を、もっと知りたい。
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