メガネを外したその先に
「口止め、しなくていいの?」


試すように口に出した言葉。


「口止めする程のことでもない」


机に腰を下ろすようにした先生が、大して気にも止めてない様子でそう答える。


「それに、長谷川はわざわざ言いふらさねぇだろ」


メガネ越しの瞳は、何の疑いもなく真っ直ぐな視線を私へと向ける。


「生徒のこと、信用しすぎじゃない?」

「別に、誰でも信用するわけじゃない」
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