メガネを外したその先に
先生の瞳が揺ぎ、妙な間が空く。

その一瞬の隙に付け込んでしまう私は、先生の瞳にどんな風に映っていたのだろう。


「少しでも可能性があるなら…先生のこと、まだ好きでいてもいい?」


肯定も否定もしない先生に、微かな希望を抱く。


「私がもっと大人になったら、また会いに来るから…その時にはもう一度、チャンスが欲しい。」


大人だったら、こんな風に相手に縋り付くことはしないのかもしれない。


「…大人になったら、な」


でも、曖昧に期待をさせた先生の返事も罪深い。
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