メガネを外したその先に

glasses11

お天気にも恵まれ、動物園の前で待ち合わせするところまでの流れは完璧だった。


「龍弥先生」

「何」

「今日は、デートじゃなかったの?」


“だから?”と言わんばかりの瞳が、メガネ越しに私へ向けられている。

ムッとした表情で不貞腐れる私の意図を、先生は全く理解していない。


「先生モードは、なし」


背伸びをして、先生のメガネに手を伸ばす。

そっとメガネを抜き取れば、レンズを通さない先生の瞳と視線が絡む。
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