メガネを外したその先に
「どうしよ」

「何が」

「幸せすぎて、死んじゃいそう」

「大袈裟」


そう言って、先生が止めていた足を再び進め出す。

先生を追い掛け、チラッと様子を伺ってから恐る恐る手を伸ばして先生と自分の手を繋ぐ。


やっぱり、先生から握り返されることはない。

でも、重なった手を振り解かれることもない。


…こんなの、期待しないなんて無理だ。

浮かれそうになる心を必死に落ち着けながら歩く帰り道は、足取りがとても軽かった。
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