メガネを外したその先に
もらったお煎餅の袋を早速開け、バリバリと音を立てながら口に運びながら、二年前に手作りのおかきを持ってきた長谷川を思い出す。


“生徒からはもらえない。”

そう言って、はっきり断った。


それで全て終わったはずだったのに、直後に職員室前に現れた風間の鞄からそのおかきの袋が覗いていた。


その袋へ向いてしまう意識を風間へ戻し、空き教室で向かい合いながら一つ一つ質問に答えていく。

風間の疑問を全て解消し終えてから、広げていた試験問題を鞄に仕舞う風間にそれとなく問う。


「それ、貰い物?」

「あっ、はい。めちゃくちゃ美味いんですけど…先生にはあげられないです、すみません。」
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