メガネを外したその先に
「ありがとう」


ローテーブルの前に並んで座り、紅茶を口に含む。


あまりに、健全な時間。

隣で頬を緩めながら幸せそうにしている希に、自分の穢らわしい感情を紛らわす。


「龍弥」

「何」


名前を呼ばれ振り返ると希が瞳を静かに閉じ、自身の唇を人差し指でトントンと示す。


「もっかいして」
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