メガネを外したその先に
希の舌を捕らえ、軽く吸い上げる。


「…ン、ッ」


短く、甘い声が響く。

小さく身体を震わせた希が、俺の胸の中で力尽きた。


息を乱しながら、力無い指先で俺にしがみつく。

希の仕草の一つ一つが、俺を堪らなく熱くさせる。


次に繋げるための行為ではなく、相手の悦ぶことを計算したわけでもなく。

自分から触れたいと感じた本能に従った口付けは、心があり得ない程に満たされた。


「せんせ、」
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