メガネを外したその先に
職員室の前で立ち止まった先生が、再度振り返って私に向き合う。


「気を付けて帰れよ」

「はい、さようなら」


“気を付けて帰れよ”の響きが、凄く好き。

先生が職員室の中へ戻ってからも、頭の中で反芻される先生の声に自然と足取りが弾む。


誰も居なくなった教室へ戻り、鞄にテキストを仕舞い込んで帰ろうとすると、廊下でジャージ姿の大智くんに出会した。


「おつかれ」

「おう」
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