メガネを外したその先に
いつもは桃を介して会話をすることが多かったので、二人になると若干気まずい。


「部活頑張ってね」

「あぁ、さんきゅ」


なるべく早めにこの場を切り抜けようと、当たり障りない会話を交わす。

“また明日”なんて言って手を振ったけれど、よくよく考えれば隣のクラスの彼と明日も会う保証なんてどこにもなかった。


下駄箱で革靴に履き替え校舎を出ると、グラウンドで部活をしている人たちの声が響き渡る。

のんびりと駅までの道のりを歩く時間は嫌いじゃないけれど、突然ポツリポツリと雨が降り出してきたのはツイてない。
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