メガネを外したその先に

glasses3

【高校一年・秋】


夏休み明け、龍弥先生に久しぶりに会えるこの日を楽しみにしていた。


「おはよう」


夏休み中にも会っていた早紀と桃に挨拶をして、自分の席に腰を下ろす。

机の中にテキストを仕舞おうとした時、カサリと紙の擦れる音がして手を入れると、ノートの切れ端に書かれたメモが入っていた。


《放課後、屋上で待ってます》


勢いのある文字は、恐らく男子が書いたものだ。

差出人が書かれていなくて少し嫌な予感がしたものの、他の人に気付かれる前にスカートのポケットにメモを仕舞い込む。
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