メガネを外したその先に



放課後になり、人気の無くなった各教室の机や教卓の中を探し回る。


他の教科のテキストだったら、正直こんなに必死になって探してない。

龍弥先生との思い出が詰まったテキストだから、何としても見つけ出したかった。


最後にいつも龍弥先生に質問をしている空き教室に微かな望みを掛けてみたけれど、私の願いも虚しくテキストはどこにもない。


「…ない」


ポツリと呟いた声が、空気に溶け込んでいく。
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