メガネを外したその先に
中身をパラパラと開けば、先生が書き込んでくれたメモもちゃんと残っていて、それを見たら涙が込み上げてきた。


「…っ」


テキストで隠すようにして涙を流す。

そんな私に先生も気付いていたはずだけれど、何も言わずにただそこにいてくれた。


「せんせ、」

「ん」


鼻を啜りながら声を掛けると、低い声で短い返事が返ってくる。


「わたし、今日誕生日なの」
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