メガネを外したその先に
先生の理想のタイプに全く当てはまっていなくて落ち込んでいるのに、先生が少しでも笑ってくれるだけで胸の奥が甘くときめく。


「でもほら、理想はあっても好きになるのは全く別のタイプってこともあるよね」

「あるかもな」


私の片想いが報われる日なんてくるのだろうか。

そう思いながらも、龍弥先生とこうして過ごせる時間が許されているだけで堪らなく幸せだから、報われなくてもいいとさえ思ってしまう。


「…雨だ」


急に店内が暗くなったかと思うと、窓の外の空が灰色の雲に覆われていって、あっという間に土砂降りの雨が降り出す。
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