メガネを外したその先に

glasses5

【高校二年・夏】


「長谷川、今少しいい?」


夏休みに入る前、最後に先生に会いに行こうと思いながら誰もいない教室で荷物を纏めていた私の元に風間(かざま)先輩がやってきた。


「はい、どうしました?」


一つ上のバスケ部の先輩。

先輩も英語の先生が龍弥先生で、先生に会いに行った時に職員室前で出会すことが度々あって自然と話すようになった。


二年生になり早紀と桃とはクラスが離れたけど、部活にも入っていない私は新しいクラスでも既に出来上がっている輪に馴染めなくて、校内でまともに会話をできるのは龍弥先生と風間先輩くらいだった。
< 61 / 213 >

この作品をシェア

pagetop