メガネを外したその先に
悪いのは私なのに、謝罪の言葉を口にした風間先輩に私は何度も首を左右に振る。


「短い間だったけど楽しかった。ありがとう。」


最後まで優しくて、誠実な人だった。


誰がどう見ても風間先輩と付き合い続けることが私にとっての正解だと思うのに、それを自ら手放した私は酷く勿体無いことをしていると思う。

それでも、自分の心に嘘を吐き続けることが苦しかったから、自分の出した答えは間違ってなかったのだと自分に言い聞かす。


自分の気持ちを誤魔化すために誰かを巻き込むことは、もう絶対にしないと心に誓った日。

私は、この気持ちが消えゆく日まで、龍弥先生を好きでいようと思った。
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