メガネを外したその先に
「ありがとう、元気出た」


そう言ってくれる先輩は、優しすぎる。


「それは、私の台詞です」


一人で食べ切るよりも、心が救われた。


「よかったら、全部もらってください」


先輩がおかきの入った袋を私へ返そうとしてきたので、それを制する。


「じゃあ、もらっとく。ごちそうさま」


満足げに笑った先輩が校舎へ向かうのを見送り、再び帰路についた私の足取りは、さっきまでより少しだけ軽くなっていた。
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