メガネを外したその先に
私の手元に視線を向けた風間先輩にそう尋ねられて、静かに首を縦に振る。


「食べてもいい?」

「えっ…」

「ダメ?」


先輩の問い掛けに慌てて首を左右に振り、手にしていた袋を先輩の手元へ差し出す。


「ん、うまい」


先輩がおかきを一粒食べて、笑う。

先生にも、そう言ってもらいたかった。


付き合いたいとか本気で思っていたわけではなくて、ただ美味しいって食べてもらえたらそれでよかった。
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