長尾さん、見えてますよ
「私も佐渡くんも、きっとコミュニケーションが上手くないのかなって。ふとした言葉で人を傷つけていても、気付かなくて。…勝手に想像してごめんね」
「…いえ、本当のことなので」
思い当たる節が一つだけあるものの、今は記憶の片隅に隠して考えないようにした。
「…でも、今の佐渡くんは違うと思うし、似ていないかもしれない」
「…………」
かすかに繋がれていた接点が、ももさんの手で解かれたような気がした。
答えが、わかってしまったのかもしれない。
そう思うと、どうにか繋がりたくて掴んでいた手に力が入らなくなって、離したエプロンの裾は小さくシワが出来ていた。
「…だから、きっと一緒にいても気付かない内に傷つけてしまうかもしれない」
「……」
優しく諭すように告げられる言葉が、どんな鋭い言葉達よりも痛く感じる。
これ以上歩み寄るのは、きっと迷惑になる。
ももさんに出会って、好きになって、初めて知ったことがたくさんあった。
無頓着に迫っていたあの夜とは、確かに違う。
ももさんの言葉が心底理解出来た。