長尾さん、見えてますよ
弾かれたように顔を上げると、困惑の表情を浮かべながらも、真っ直ぐに視線を返してくれた。
「……」
イエスともノーとも取れない返答に、なんと答えようか言い淀んでいると、ゆっくりと瞬きをしてから、ももさんが話し始めてくれた。
「…私と佐渡くんは、どこか似てると思う。多分、人にあんまり興味がないんだと思う。私は周りの雰囲気とかについていけなくて、自然と人と距離を取っていたから…」
そこまで言って、薄く口を開けて次の言葉を探している様子に胸が熱くなる。
自分のために、何かを伝えようとしてくれている姿が、どこまでも嬉しく感じる。
「…だから、帰り道に告白してくれたことを、さっきは思い出せなかったけれど、佐渡くんの気持ちを聞いた今、思い出して、本気なんだって分かって、すごく傷つけたんだなって理解した」
困惑しているのかと思っていたら、どうやら申し訳ない気持ちでいっぱいだったらしい。
浮いていた気持ちも、ももさんの言葉を聞いてあの夜はっきりと拒絶されたことを今思い返すと、自然と床に視線が落ちそうになる。
「…でも、俺も他人とコミュニケーション取ったことなんてなかったし、告白したのも初めてで、あんなもんなのかなと思ってその時はそこまで傷ついてなかったですよ」
「そこが、似てるなって思ったの」
そう言って、少し呆れたように、でもおかしそうにももさんは笑みをこぼした。
「………っ」
自分に向けて笑ってくれたことが、本当に嬉しくて、小さく息を呑んだ。