天色ガール【修正版】
「チッ、もーいいからついて来い」
「え? ……うわっ」
ばさっと何かが頭に被さり、頬から金色の長い髪が滑り落ちる。
……金髪の、ウィッグ?
「えーとなんでこれ被せ、」
「いーから来いっつってんだろ!」
気の短いプリン先輩に黒のマスクも付けられ、トイレの全身鏡にヤンキー姿のあたしが映る。
この学校では珍しい黒髪もパンダじゃない顔面も、今では金髪ウィッグと黒マスクで完全に隠されてしまった。
「声出したらどうなるか、わかってんだろうな?」
耳元に顔を寄せ、低い声で囁くプリン先輩。
別に誰にも助けなんか求めないのに、用心深い彼女はあたしのスカートのポケットから携帯を奪って腕を強く引っ張ってきた。
賢いというか……ずる賢いというか。
「……学校の危険」
堂々と前を歩く先輩たちの背中を見ながら、彼女らには聞こえない声量でぼそっと呟く。
信号機たち、ごめん。