天色ガール【修正版】
「──ってる」
ぼそっと、掠れた声。
気を張った体勢を解いて上げた真琴の顔は、今にも泣きだしそうだった。
「っ本当は、わかってる。女がみんな、俺らの外面だけを見てるわけじゃないってこと」
唇をきつく結んで、再び地面に視線を落とす。
「だって藍の母親はそんな人じゃないから……」
「藍の母親?」
聞き返すと彼は小さく頷いて、「……俺さ」とようやくあたしと視線を交わらせた。
けれどそれは一瞬で。気づいた時にはもう、遥か遠くの方を見つめていて。
「実の母親に……襲われた、ことがあるんだ」
“まぁ、結局は未遂に終わったんだけど”
そう自嘲的な笑みを浮かべて、ぽつりぽつりと、真琴は辛い過去を振り返った。


