天色ガール【修正版】
「ふぅ、さすがに理事長室には来ないだろ」
暁は部屋のドアを閉め、「いきなり抱きついて悪かったな」と笑いながら謝る。悪いなんて少しも思ってないくせに。
……まぁいいや。そんなことより、
「今日父さん家に行く予定なんだけど、暁も来る?」
「正人さん家かー。最近顔出してなかったし、行こうかな」
「コウも来ると思う?」
「お前が誘ったら来るんじゃねーか?」
確かに。“俺も行きます!”って元気について来る姿が容易に想像できる……メールしとくか。
「なぁ。あいつらの姫になるって話になった経緯、詳しく知りたいんだけど」
そういや電話では、暁のせいだって怒りながら大雑把に話しただけだったな。
冷静さを取り戻したあたしは、昨日あった出来事を暁に一から説明した。
「──仮の姫、なるほどな。他の族から狙われてるからってことか」
最後まで話し終えた後、暁に“完全に俺のせいだな”と再び謝られた。
「もういいよ」
結構気にしてるみたいだし……ん?
制服の右ポケットにある携帯が震えている。コウからの電話だ。
今は授業中のはずだけど、もしかしてさっき送ったメールの返事かな……。
「はい。どうした、」
『俺も正人さんとこ行きます!』
携帯から、予想通りの元気な声が聞こえた。