天色ガール【修正版】
「おいアメ。今日はもう帰るのか?」
「うん。コウがまだ騒ぎが収まりそうにないから帰っていいって」
「はあ? どんだけだよ……」
暁が額に手を当ててため息を吐いた。本当に、どれだけ騒げば落ち着くんだ。
「あ、そうだ。コウに“裏門を使え”って言われたんだけど、どこにあるの?」
コウに言われた裏門とやらの場所を聞くと、暁は「裏門?……なるほど。そこ使えばいいのか」と一人で納得したように手を叩いた。
だから場所が知りたいんだけど。
「あ、あぁ。裏門っていうのは、ここの教師と理事長だけが使える門のことだよ」
ジト目で見ていれば、少し吃りながらもやっと教えてくれた。
……って、教師と理事長だけが使える門!?
「そんなの使っちゃっていいの?」
「理事長の俺が許可したんだし大丈夫だろ」
ははは、と笑って職権乱用する暁に「これ予備だから返さなくていーぞ」と裏門の鍵までもらってしまった。
いや軽っ! しかも笑ってるし……。
もうこの際、お言葉に甘えさせてもらおう。
「裏門の場所は?」
「行きに通る大きな校門が正門で、裏門はその反対側にある。まぁ行ったらわかるはずだ。いつでも使っていいからな!」
「ありがと。じゃあ、また後で」
あたしは授業中の生徒たちに見つからないよう隠れながら階段を駆け下り、正門よりも横幅が狭い裏門を通って家に帰った。