『世界一の物語』 ~人生を成功に導くサクセス・ファンタジー~
「そしてね、いろんな動物の形をした貯金箱を10個渡されて、これに貯めていきなさいって言われたの」
スマホの画面に保存してある貯金箱の写真を見せてくれた。
「今思えばね、母親の気持ちはよく理解できるの。家のことがなんでもできる子供に育てる仕組みを通じて金銭に対する感覚を育ませようとしていたってことが」
それで?
「学校から帰ったら必ず一つお手伝いをするって決めて始めたの。最初は自分の部屋の掃除や犬の散歩くらいだったけど、貯金箱にお金が貯まるのが楽しくなって、いろんなお手伝いを始めたの。そうしたら、どんどんお金が貯まって貯金箱がいっぱいになったの。だから、二つ目の貯金箱に貯め始めたの」
そして唐突に、「貯金箱にお金が貯まっていく快感ってわかる?」と問われた。
「そんなこと言われたって、わかるわけないですよ。だって一度もお金を貰ったことがないし……」
いじけた声になった。
「そうだったわね、変なこと訊いちゃってごめんなさい。あとでお詫びにシャトーブリアン生肉をご馳走するわね」
「ワン♪」
思わず尻尾を振ってしまったが、犬の性とは言え、情けなくなって目を伏せた。
自尊心がズタズタになっていた。
それでも、ここで終わりにするわけにはいかなかった。
続きを訊き出さなければならないのだ。
うな垂れながらも玉留にすり寄った。
「お金が貯まる快感って……」
上目づかいで見つめると、玉留はフランソワの頭を撫でながら再び話し始めた。
「貯金箱が重くなっていくのがなんにもまして楽しくなったの。貯金箱に頬ずりしたくなるくらいだったわ。だからお手伝いに精を出すようになって、あれもこれもってやっていったら、自分でもびっくりするくらい早く10個の貯金箱がいっぱいになったの。それでね、そのお金でお人形さんを買ってもいい? って訊いたの。母親がなんて言ったと思う?」
そんなこと、わかるわけないでしょう。
「株を買いなさい、だって」
株?
「『お人形さんを買ったらお金が減るけど、株を買ったらお金が増えるのよ』って言われたの。それでね、『お金が増えるんだったらいいわよ』って貯金箱を母親に渡したの」
次の日、空になった貯金箱を返されて、また貯金に勤しんだという。
スマホの画面に保存してある貯金箱の写真を見せてくれた。
「今思えばね、母親の気持ちはよく理解できるの。家のことがなんでもできる子供に育てる仕組みを通じて金銭に対する感覚を育ませようとしていたってことが」
それで?
「学校から帰ったら必ず一つお手伝いをするって決めて始めたの。最初は自分の部屋の掃除や犬の散歩くらいだったけど、貯金箱にお金が貯まるのが楽しくなって、いろんなお手伝いを始めたの。そうしたら、どんどんお金が貯まって貯金箱がいっぱいになったの。だから、二つ目の貯金箱に貯め始めたの」
そして唐突に、「貯金箱にお金が貯まっていく快感ってわかる?」と問われた。
「そんなこと言われたって、わかるわけないですよ。だって一度もお金を貰ったことがないし……」
いじけた声になった。
「そうだったわね、変なこと訊いちゃってごめんなさい。あとでお詫びにシャトーブリアン生肉をご馳走するわね」
「ワン♪」
思わず尻尾を振ってしまったが、犬の性とは言え、情けなくなって目を伏せた。
自尊心がズタズタになっていた。
それでも、ここで終わりにするわけにはいかなかった。
続きを訊き出さなければならないのだ。
うな垂れながらも玉留にすり寄った。
「お金が貯まる快感って……」
上目づかいで見つめると、玉留はフランソワの頭を撫でながら再び話し始めた。
「貯金箱が重くなっていくのがなんにもまして楽しくなったの。貯金箱に頬ずりしたくなるくらいだったわ。だからお手伝いに精を出すようになって、あれもこれもってやっていったら、自分でもびっくりするくらい早く10個の貯金箱がいっぱいになったの。それでね、そのお金でお人形さんを買ってもいい? って訊いたの。母親がなんて言ったと思う?」
そんなこと、わかるわけないでしょう。
「株を買いなさい、だって」
株?
「『お人形さんを買ったらお金が減るけど、株を買ったらお金が増えるのよ』って言われたの。それでね、『お金が増えるんだったらいいわよ』って貯金箱を母親に渡したの」
次の日、空になった貯金箱を返されて、また貯金に勤しんだという。