『世界一の物語』 ~人生を成功に導くサクセス・ファンタジー~
 館の中に入って、テイスティングルームに通されたフランソワに赤ワインが振舞われた。
 当たり年と言われる2015年のワインだった。
 スワリングをして香りを立たせ、そっと鼻に近づけ、一口含んで舌の上で転がし、噛むようにして飲んだ。
「トレビアン♪」
 華やかな芳香と豊かなコクを感じさせる素晴らしい出来栄えだった。
「長期熟成タイプだから、これからどんどんおいしくなるわよ」
 玉留の口から楽しそうな鼻歌が漏れた。
「寝かせれば寝かせるほど価値が高まるから10年未満のものは出荷しないことにしているの。だから、今飲んでいる2015年のワインはまだ1本も出荷していないの。来年の秋に満10年を迎えるから、少しずつ準備を進めているところなの」
 そして、ロマネ・コンティほどの値段はつかないが、ペトリュスに負けない評価を得る自信があると言い切った。
 ペトリュスか……、
 HONDAジェットで飲んだペトリュスはうまかったな。
 でも、リッチ・ウーマンも確かにうまい。
 いい勝負だと、フランソワは思った。
 
 
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