『世界一の物語』 ~人生を成功に導くサクセス・ファンタジー~
 しかし、いつまでもそれに浸っているわけにはいかなかった。
 すぐにヨーロッパツアーが始まったからだ。
 ここでもサッカースタジアムを巡った。
 スタートはスペインだった。
 マドリードにある『エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウ』
 あのレアル・マドリードの本拠地だ。
 マラカナンほどではないが、それでも収容人数8万5千人を誇るヨーロッパを代表するスタジアムだ。
 そこで大成功を収めると、フランスに渡って『パリ・サンジェルマン』へ、更にドイツに渡って『バイエルン』へ、更にイタリアに渡って『ユベントス』の本拠地スタジアムで公演を行った。
 そして、最後はイングランドの『アンフィールド』
 1892年に創設されたビッグクラブ『リバプールFC』の本拠地スタジアムだ。
 勿論、欧州ビッグクラブの中の王座『バイエルン』に肉薄する『マンチェスター・シティ』の本拠地で行うという選択肢もあったが、ビートルズ生誕の地を外すわけにはいかなかった。
 呂嗚流にとって魂の故郷ともいえる場所なのだ。
 
「おめでとう」
 その声に顔を向けると、旧知の人物が横に立っていた。
 その顔には長期公演に対する労いと、最終公演をリバプールにしてくれた感謝が浮かんでいるようだった。
「ありがとう」
 肩に手をかけた呂嗚流は彼を引き寄せて抱きしめた。
「精一杯楽しんでくれ」
 頷いた彼は、呂嗚流のお尻をポンと叩いて特等席へと向かった。


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