『世界一の物語』 ~人生を成功に導くサクセス・ファンタジー~
 しかし、それから1か月経っても、2か月経っても、3か月経っても変化は起こらなかった。
 海しか見えないのだ。
 あるはずの陸が姿を見せないのだ。
 自信満々で航海を始めた男だったが、疲れ果てて気が滅入り、口数が少なくなった。
 それでも、幸運の女神は男を見放さなかった。
 4か月を少し過ぎた時、突然船員が声を発したのだ。
「島を見つけた」
 その声で生気を取り戻した男は前方に目を凝らした。
 すると、ゴマ粒のようなものが見えた。
 新大陸に違いなかった。
 遂に見つけたのだ。
 長年の夢が叶い、世紀の発見者になったのだ。
「ヤッター!」
 雄叫びを上げた瞬間、呂嗚流は現実に戻った。
 
 
 
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