『世界一の物語』 ~人生を成功に導くサクセス・ファンタジー~
「大丈夫ですか?」
 遠くの方から誰かの心配そうな声が聞こえた気がした。
 ん? と思う間もなく、顔に生暖かいものが触れた。
 何? 
 驚いて目を開けると、犬が舐めていた。
 目が合うと、「大丈夫ですか?」と犬が言った。
 犬語が……、
 呂嗚流は飛び起きて、その犬と正対した。
「お前は誰だ?」
 言った途端、驚いて顎に手をやった。
 治っていた。
 外れた顎が元に戻っていた。
 ほっとした。
 しかし、頭に痛みを覚えた。
 かなり痛い。
 手をやると、大きなコブができていた。
 そのコブを擦っていると、ハッキリと思い出した。
 空から降ってきた正体を思い出したのだ。
 この犬だった。
 この犬が空から降ってきて頭に直撃したのだ。
 その衝撃で気を失ったのだ。
 でも、そのお陰で外れた顎が治ったのも確かだった。
 
 
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