『世界一の物語』 ~人生を成功に導くサクセス・ファンタジー~
 一番上に表示された検索結果をタップすると、〈しばらく安静にして、心を落ち着けて、顎を左右に揺するようにすると戻ることがある〉と書いてあった。
 その通りやってみた。
 みたが、全然うまくいかなかった。
 
 どうすればいいんだ? 
 誰か助けてくれ!
 痛みと不安で恐怖に襲われた。
 その時、急に雲行きが怪しくなり、瞬く間に空から青が消えた。
 なんだ、あれは? 
 海上を猛スピードで移動する黒い影が見えた。
 もしかして、あれは……、 
 竜巻だ! 
 こうしてはいられない。
 早く逃げなくては!
 腰を上げようとしたが、立てなかった。
 腰が抜けていた。
 世界一カッコいいロックスターなのに、顎が外れて、腰が抜けていた。
 情けない……、
 気落ちした呂嗚流は余りの悔しさに唇を噛みしめようとしたが、顎が外れた状態では噛みしめることさえできなかった。
 
 そんな呂嗚流に襲いかかるように、ゴ~という恐ろしい音を立てて竜巻が至近距離まで近づいてきた。
 ヤバイ! 
 助けてくれ! 
 声にならない叫び声をあげた瞬間、竜巻は呂嗚流の横を通り過ぎていった。
 
 ホッ、
 胸を撫で下ろした呂嗚流は空を見上げた。
 すると、さっきまでの異変がウソのように晴れ渡っていた。
 なんだったんだ、さっきは……、
 そう思った時、上空に小さな点のようなものが見えた。 
 なんだ? 
 見続けていると、小さな点は少しずつ大きくなってきた。
 そして、目に見えて大きくなって、どんどん迫ってきた。
 まさか? 
 その正体を確認した瞬間、気を失った。
 
 
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