リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~


パーティーに参加している梨央ちゃんの忘れ物を届けにいったホテルのロビーで会った男性に間違いない。彼が落としたカードケースを拾ったときのことを思い出す。

まさか街中で再び会うとは。

男性は背後を気にしているようで、先ほどからちらちらと後ろに視線を向けながらこちらに向かって歩いてくる。

すれ違いそうになった、そのとき――。

「すまない。少しでいいから協力して」

突然、男性が私の手を握った。

「えっ」

なにが起きたのかわからず、握られた手を振り払うこともできない。

男性の足取りは早く、今さっき歩いてきたばかりの道を引っ張られながら戻っていく。

「追われているんだ。カモフラージュのためにこのまま俺と一緒に歩いてくれないか」

男性がそんなことを言うのが聞こえた。

追われている? いったい誰に?

だから先ほどから自身の背後を気にしながら歩いていたのだろうか。

こっそりと後ろを振り返ってみたけれど、それらしき人物は見当たらない。


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