リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
静かな朝食の時間に物寂しさを感じてしまう。
せっかくふたり揃って食事をしているのだからもっと会話があってもいいのに。
涼成くんはずっと難しい顔をしたままタブレットしか見ていない。
まるで私のことなんて見えていないようだ。
あの日見た笑顔は夢だったんじゃないだろうか。
横浜の夜景を一緒に見た日、再会してから初めて涼成くんが笑ってくれた。
『俺が笑えるのは柚葉が隣にいるからだ』
そう言っていたはずなのに、あれから涼成くんの笑顔を見ていない。一緒にいても笑ってくれない。
あの言葉は聞き間違いだったのだろうか……。
「涼成くんの嘘つき」
心の声がふと口に出てしまった。
涼成くんがタブレットから視線を外して私を見る。
「俺が嘘つき?」
「なんでもない」
私はぷいっと視線を逸らして食パンを頬張った。
朝食後はお皿を片付け、出勤時間に間に合うように身支度などを進めていく。
自室でメイクをしているとドアをトントンとノックする音が聞こえた。
「少しいいか」
涼成くんの声だ。
いいよと返事をするとゆっくりとドアが開く。