リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
その背中を見つめながらそっとおでこに触れる。
ぶわっと頬が熱くなるのがわかった。
唇にキスをされると思っていたけれど、彼の唇が触れたのは私のおでこ。
それでも心臓がばくばくと音を立てている。
突然どうして?
玄関の扉がぱたりと閉まり、涼成くんが家を後にする。残された私はしばらくその場から動けなかった。
涼成くんのせいでその日は遅刻ぎりぎりの出勤となってしまった。
午前の業務を終えてお昼休憩に入っても今朝のキスが忘れられない。
「――柚葉。聞いてる?」
「えっ。あ、ごめん」
同僚の美紅と食堂でランチを取っていたのだけれど、彼女の話を上の空で聞いていた。
美紅が頬を膨らます。
「ちゃんと聞いててよ」
「ごめん。なんの話だっけ?」
苦笑しながら尋ねた。
美紅がランチのパスタをフォークに巻き付けながら口を開く。
「山本さん夫婦が離婚するって話」
「え、そうなの⁉」
「もうっ。ぜんぜん私の話聞いてなかったじゃん」
「ごめん」
涼成くんのことを考えていたせいで美紅の声が聞こえていなかった。
山本さんは私たちと同じ課で働く二歳上の同僚男性。課は違うけれど奥さんも同じ会社で働いている。