リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
私たちは契約夫婦で、涼成くんは私のことなんてなんとも思っていないはずなのに。
気持ちが通じ合っていないのに体だけ繋がるのは嫌だ。
だから、このまま流されるわけにはいかない。
「やめてっ。涼成くん」
一瞬だけ唇が離れた隙をみて強引なキスから逃げるように顔を思いきり横に向けた。手が震えている。
ちらっと視線だけで涼成くんを見るとハッと我に返ったような表情を浮かべている彼と目が合った。
「すまない」
覆いかぶさっていた体が離れていく。
ベッドに腰を下ろした涼成くんが片手で自身の前髪をくしゃりとかきあげたあとで力なくうつむいた。
私もベッドから起き上がる。
涼成くんになにか声をかけようとしたけれど言葉が見つからない。
ふと先ほどまでの激しいキスと、ベッドに押さえつけられた感覚を思い出す。
こわかったわけじゃない。
涼成くんの気持ちがわからないまま体を繋げるようなことをしてはいけないと思ったから拒んだ。
このままここにいない方がいいのかもしれない。
私は慌てて立ち上がり、涼成くんの部屋を後にした。