リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~


この日の夜も涼成くんは私が寝る頃に帰宅した。

「おかえり」

リビングに入ってきた彼に声をかける。

ただいまと返事は返してくれても、その視線が私に向かうことはない。

涼成くんはコホッと軽く咳き込みながらキッチンに向かった。

冷蔵庫からミネラルウォーターの入ったペットボトルを取り出し、コップに移してから喉に流し込む。そのあとでまたコホッと咳き込んだ。

小さく息を吐いたあとで冷蔵庫に片手をつき頭を左右に振る。

もしかして体調が悪いのだろうか。

さすがに心配になり声をかけようとしたけれど、涼成くんは足早にリビングを出ていった。


翌日の仕事終わり。

マンションまで帰宅する途中にある総合病院から涼成くんが出てくるのを見かけた。

秘書の鳴海さんが運転していた車に乗り込む彼を見て、やはり昨日は体調が悪くて病院を受診したのだろうと思った。

風邪を引いてしまったのだろうか。

でも、なんとなくそうではない気がした。

風邪で総合病院を受診するだろうか。もっと大きな病気を抱えていたりして……。

嫌な予感がして胸が騒ぐ。

ふと思い出したのは以前涼成くんが呟いていた言葉。

『俺にはあと一年しかないから』

あのとき気にはなったけれどあまり深く考えようとはしなかった。

けれど、今になってその言葉が私の中で膨らんでいく。


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