リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「俺も柚葉を愛してる」
ふと聞こえた声に今度は私がきょとんとした顔になる。目の前の涼成くんは優しく微笑んでいた。
「以前、夢の話をしたことがあっただろ」
「夢? う、うん」
横浜で夜景を見たときのことだろう。じゃんけんで負けてしまったので教えてもらえなかった。
「俺の子供の頃の夢は柚葉とずっと一緒にいられることだった。あの頃から柚葉は俺の心の支えだ。俺には柚葉が必要だ」
突然の告白に耳を疑う。
涼成くんが私を好き?
そのとき病室の扉がガラッと音をたてて勢いよく開いた。入ってきたのは涼成くんのおじい様だ。
「涼成、体調はどうだ」
「今は安定しています。わざわざ病室まで足を運ばせてしまい申し訳ありませんでした」
お互いの想いを伝えあっていた甘い雰囲気は一瞬にして消えて、緊張感に包まれる。
私は座っていたイスから慌てて立ち上がった。
「どうぞ、座ってください」
おじい様にすすめたものの首を横に振られてしまう。
「いや、必要ない。すぐに帰る」
そう言っておじい様は厳しい表情で涼成くんを見た。
「いずれTAKIGAWAホールディングスを継ぐ者として体調管理も大事な仕事だ。涼成、お前が倒れたら会社の指揮を執るものがいなくなる」
「以後気を付けます」
「詳しいことは鳴海から聞いた。検査結果は必ず報告するように」
「はい」
うなずいた涼成くんの肩におじい様の手が添えられる。