リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「そういえばお見合いは大丈夫だった?」
実はずっと気になっていたことを尋ねた。
麦茶を一口飲んだ涼成くんがゆっくりと口を開く。
「祖父に叱られた」
「やっぱり……」
大事なお見合いを無断で欠席したうえに誰にも居場所がわからないような私の家に身を隠していたのだから当然だろう。
「大丈夫なの?」
涼成くんのことが心配で尋ねると、彼は涼しい顔で頷く。
「ああ。別の手を思いついて、縁談をなかったことにしてもらった」
「別の手?」
いったいどんな手を使ったのだろう。
「結婚したい相手がいると祖父に伝えた。だから見合いは断りたいと」
「えっ。そうなんだ」
そういう相手がいるならわざわざお見合いから逃げて私の家に身を隠すよりも、最初からおじい様に正直に伝えればよかったのに。
「それじゃあおじい様の決めた相手じゃなくて、涼成くんは自分の決めた相手と結婚できることになったんだね」
涼成くんが不本意な結婚を強いられなくてよかったと安心したが、目の前に座る彼の表情は強張っている。
「それは縁談を回避するための口実で俺に結婚したい相手はいない」
「いないの⁉」
つまりおじい様を騙したということだろうか。そんなことをして涼成くんの身が心配だ。