リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
父子家庭だった子供時代。涼成くんのお父様の秘書をしていた父が多忙なとき、お母様にはとても親切にしてもらった。
父が亡くなり駒井家に引き取られてからはふたりと会うこともなくなってしまったが、こうして再会できて当時と変わらない元気な姿を見ることができてうれしい。
「よく来てくれたわね。さぁ入って」
「おじゃまします」
絵画や骨董品などが飾られている廊下を進み、大広間へと案内される。
十人ほどが座れる細長いテーブルの上には豪華な食事が用意されていた。
涼成くんの隣に並んで座り、向かいの席にはご両親が腰を下ろす。
使用人の男性がワインを運んでくるとまずは乾杯から。そのあとで食事を始めた。
「柚葉ちゃんと最後に会ったのは小学生の頃だったかな。駒井くんが亡くなって、お兄さん夫婦に引き取られたと聞いたが、あれからどう過ごしていたんだ」
涼成くんのお父様に尋ねられて私は笑顔を作った。
「伯父たちにはとてもよくしていただきました。私を迎え入れてくださったことにとても感謝しています」
実際は仕方なく引き取られてあまりよい待遇ではなかったが、それを正直に言えばふたりが心配すると思いとっさに嘘をついた。