リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「そうか。それならよかった」
お父様が安心したように表情を緩め、その隣でお母様も微笑んでいる。
「実はあの頃、妻と話し合って柚葉ちゃんをうちで引き取ろうかと話していたんだ」
「そうなのですか?」
突然の告白を受けて驚く私に、お父様が言葉を続ける。
「駒井くんは私の右腕的存在だったから、なにか力になれることはないかと思ってね。彼が家出同然で実家を飛びだして、柚葉ちゃんのお母さんと結婚したのは知っていたから。彼が亡きあと柚葉ちゃんを引き取る親戚がいないのではないかと思い、それならうちで引き取ろうと考えていたんだ」
まさか涼成くんのご両親がそんなことを考えていてくれたなんて。彼らの心の温かさに胸がじんと熱くなる。
お父様が話したように父は駒井家とは縁を切っていたそうだ。
父が育った駒井家は旧華族の名家。父は次男で跡取りではなかったものの結婚相手には同じくらいの家柄の女性が望まれた。
けれど、当時父と交際していた母は一般家庭の出身。結婚を強く反対された父は駒井家との縁を切って母と結婚したそうだ。
それ以降、駒井家との交流を絶っていたため、私は父が亡くなって初めて父の兄である伯父の存在を知った。