リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
お母様の明るい声と表情からは私を涼成くんの妻として快く迎え入れてくれているのだと伝わってくる。それはお父様も同じだ。
もしも涼成くんの家に引き取られていたら私はどういう生活を送っていたのだろう。涼成くんが義理の兄になっていたのかもしれないとふと想像した。
「涼成。柚葉ちゃんとの結婚を考えているならもっと早く教えてくれればよかっただろ」
お父様の視線が私の隣に座る涼成くんに向かう。
「縁談に乗り気でないのは知っていたが、まさか見合いの席に来ないとは思わなかった。あのときは焦ったし、激怒する父さんをなだめるのに苦労したんだからな」
「悪かったよ。子供じみた抵抗をしたと反省してる」
涼成くんがばつの悪そうな顔を見せた、そのとき――。
大昼間の扉が突然開き、和服を着た年配の男性が姿を見せる。
その瞬間、空気がピリッと引き締まる感覚がして、私は今よりもさらに背筋を伸ばして姿勢を正した。