リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~


あの頃よりも歳を重ねているけれど覚えている。この年配男性は涼成くんのおじい様だ。

今日の結婚報告には参加しないと聞いていたけれど……。

「涼成」

おじい様が鋭い声で涼成くんの名前を呼んだ。

「隣にいるのがお前の選んだ女性か」
「そうです」

涼成くんがすっと席を立つ。

「おじい様の決めた女性ではなく、私は彼女を妻に迎えたいと思っています」

少し棘のある声でおじい様に立ち向かうようにしてはっきりと涼成くんはそう言った。

するとおじい様の視線が私に移ったので慌てて立ち上がる。それから深く頭を下げた。

「ご無沙汰しております。駒井柚葉です」

子供の頃から多岐川家にはお世話になっていたのでおじい様とも面識はある。とはいえ、数えられるくらいしか会ったことがなかったので、おじい様が私を覚えているかはわからない。

それに、子供の頃の私はある行動をきっかけにおじい様に強く叱られたことがある。おじい様が私を覚えているなら私の印象はあの頃のまま最悪のはずだ。

おじい様がまるで私を品定めするかのように無言でじっと見つめてくる。


< 47 / 151 >

この作品をシェア

pagetop