リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~

今度は気づいたようで、男性がこちらを振り返る。

私とそれほど歳が変わらない二十代後半ぐらいの男性。すらりとした長身で、百五十五センチの私よりも二十センチ以上は高いはず。

しっかりと整えられて清潔感のある黒髪。形のよい眉に、くっきりとした二重の目。通った鼻筋に、薄い唇など顔全体のバランスがとても整っている。

美麗な顔立ちに思わず見惚れてしまったけれど、声をかけた目的を思い出してハッと我に返った。

「落としましたよ」

手に持っているカードケースを男性に見せる。すると自分のものだと気づいたのだろう。男性はスーツのポケットを確認したあとでハッとしたような表情を見せた。

「ありがとうございます」

男性がカードケースを受け取り、スーツのポケットにしまう。それからふと視線が持ち上がり、私と目が合った。

「……どこかで会ったことある?」
「えっ」

突然の言葉に私はぽかんとした顔を浮かべてしまう。

「いえ、初対面です」

私のまわりには目の前の男性のような長身で、見惚れてしまうほど顔立ちの整った男性はいないはず。


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