リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「彼は忙しい人だから予定が合わなくて参加できないかもしれない」
「は?」
事情を伝えると不機嫌そうな梨央ちゃんの声が耳に届いた。この反応は彼女を怒らせてしまったかもしれない。
「柚葉の旦那が忙しい? そんなわけないでしょ。将来は会社社長の私の婚約者と違って、あんたの旦那なんて名前も聞いたことがないような小さな会社に勤めている普通の会社員なんだろうから。どうせ暇でしょ」
梨央ちゃんはまだ会ったことがない私の夫に対して、どうやらそんな想像をしているらしい。
実際は普通の会社員ではないのだけれど、今そこを訂正すると梨央ちゃんの怒りを増長させそうなのでやめておく。
「予定は必ず合わせなさい。絶対にふたりで来ること。わかったわね」
「う、うん」
うなずいた私に満足したのか、梨央ちゃんからの通話はそこで切れた。
耳から話したスマートフォンをダイニングテーブルに置いてから自然とため息がこぼれる。
両家顔合わせかぁ……。
「行きたくないな」
しかも涼成くんを連れていかなければならないなんて。