リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「気にするな。いくら請求されても払えるだけの余裕はある」
「そういうことじゃなくて」
思わず涼成くんの腕をぎゅっと掴んでしまった。
たしかに以前北海道へ行ったとき、プライベートジェットをチャーターできてしまうくらい彼には自由に使えるお金があるのだろう。
だからといってそれを私のために使うべきではないと言いたいのだ。
「お金のことは私と伯父さんの問題だから涼成くんには関係ない。だから払う必要ないんだよ」
「関係ないわけないだろ。柚葉は俺の妻だ」
「そうだけど、でもそれは――」
「それに、約束しただろ」
私の言葉に被せるように涼成くんが言う。
「今度は俺が柚葉を守る番だ」
「えっ」
その言葉の意味がわからず、涼成くんを見つめる。
「覚えていないならそれでいい。俺は柚葉の力になりたいだけだ」
涼成くんが後部座席の扉を開けた。背中をそっと押されて、乗り込むように促される。
後部座席のシートに座った私の隣に涼成くんも腰を下ろす。それから秘書の男性に車を出すよう指示を出した。
「間に合ったか?」
ゆっくりと車を発車させながら秘書の男性が涼成くんに尋ねた。
「ああ」
涼成くんが静かに返事をする。そのあとは窓の外に視線を向けたまま黙ってしまった。