リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「それでは、私たちはこれで」
涼成くんが伯父たちに軽く頭を下げる。
「帰るぞ、柚葉」
私の腰にすっと手を添えて涼成くんはエントランスに向かって歩き始めた。伯父たちを振り返ろうとしたが止められる。
「彼らとはもうかかわるな」
まっすぐに前を見つめながらそう口にした涼成くんに尋ねる。
「どうして知ってるの? お金のことや梨央ちゃんのことも……」
「調べた。俺と離れてからの柚葉がどんな生活を送ってきたのか気になって。勝手なことをしてすまない」
エントランスを出ると、そこには黒塗りの車が停まっていて運転席には涼成くんの秘書の男性が座っている。
涼成くんが後部座席の扉に手をかけたところで、「待って」と声をかけた。
「伯父さんたちへの毎月の返済の件だけど」
振り返った彼にはっきりと伝える。
「涼成くんに払ってもらうわけにはいかない。そこまでしてもらえないよ」
結婚はしたけれど私たちは本物の夫婦ではない。
私はおじい様が決めた縁談を断りたかった涼成くんに頼まれて結婚しただけの仮の妻だ。
それなのに伯父への毎月の返済を全額支払ってもわうわけにはいかない。